Column 06 — AI & Work

300万円のサイトを、
1,000円で。

2026.07.14 / 読了 約8分 / 文: 笹崎智暉

工務店・設計事務所・ハウスメーカー・住宅会社で「これは使えるな」と思うAIの活用事例を話します。先に言っておくと、設計業務もインテリアコーディネートもやったことがないので、その部分は分かりません。それ以外の、自分が実際に作ってきたものの話を、実例ベースで全部書きます。

01前提 — エージェント型AIの話です

この記事の前提はひとつだけ。Claude Code、もしくはCodexのような「エージェント型」のAIを使った活用事例だということです。チャットで質問に答えてくれるAIではなく、パソコンの中で実際に手を動かして作業を実行してくれるタイプの話なので、そこはご容赦ください。

注釈: エージェント型AIとは — 質問に答えるだけでなく、指示を受けてファイルの作成・コードの実装・サーバーへの公開・検証まで、一連の作業そのものを実行するAIのこと。Claude Code(Anthropic)やCodex(OpenAI)が代表格です。

02ホームページ — このサイトは100%AI製

結論いま見ているこのサイトは、デザイン・アニメーション・SEO・公開・更新まで100%AIで制作。コードは1行も書いていない。

まず一番使えるなと思っているのが、マーケティング。その筆頭が、いま見ていただいているこのホームページです。これ、完全にAI100%なんです。ゼロから100まで — デザインも、アニメーションも、レスポンシブ対応も、サーバーへの公開も、公開後の更新も、全部AIで実行しています。

僕は1行たりともコードを書いていません。エンジニアにもデザイナーにも、協力は全くいただいていません。完全に一人で作り上げています。

従来のWeb制作を考えてみてください。見積もりがあって、ヒアリングがあって、デザイン案があって、来週打ち合わせしましょうか、来月打ち合わせしましょうか — と何時間も拘束されて、テストページが出てきたら「イメージと全然違う」なんてことも結構ある。フォント、余白、色が一発で決まるかというと怪しくて、バグ出しして、また1ヶ月後。とにかく遅い。半年くらいかかるんじゃないかという感覚があります。

予算感でいうと、このボリュームでアニメーションまで入ったサイトなら、僕の肌感で200〜300万円、下手したらもっとすると思っています。それが、AIの月額サブスクの範囲内で、最初のトップページは1日でできた。1日あたりに換算したら、1,000円くらいで作れているわけですよ。とんでもないですよね。

半年と300万円が、1日と1,000円になった。

03「公開してから育てる」が現実になった

結論公開後にページを足し、デザインを磨き続ける運用がAIで初めて現実になる。「公開したら終わり」の時代の常識が変わる。

やり方がめっちゃ変わったなと思うのは、ここです。ホームページは、公開してからどんどこどんどこ更新していく — これがリアルになりました。

制作会社さんの場合、公開したらそこで一区切りですよね。「新しいページを作りたいんですが」と言うと、15万、20万、30万、50万という見積もりが来て、「えー、どうしよう。やらないでおこうか」となる。WordPressで素人でも更新できますよ、という仕組みを作ってくれたりもするけど、その範囲で更新できることはかなり限られていて、大したデザインにはできない。せっかく新しい商品を作って表に出したいのに、全然イケてない見た目になる — そういうこと、結構あるじゃないですか。

そうじゃなくて、ローンチしてから徐々に徐々に良くしていく。このサイトも、いま読んでもらっているコラムのページは後から作ったものだし、デザインも含めてどんどん更新しています。これがすごいなと感じています。

04SEOと、これからのLLMO対策

AIはSEO対策がめちゃくちゃ上手だなと思います。Googleへの登録、サーバー内の設定、タグの設定、内部リンクの設計 — 外部対策も含めて、すごい知見があると感じています。ページの更新頻度も上げられるから、効果もすごい速度で出てくるんじゃないかなと。

それから、今後はLLMO対策も必要になってくると思うんですけど、その辺もバッチリやってくれるだろうという感覚があります。ちなみにこの文章は、AIにフォローはもらっているけれど、書いているのは自分の価値観と考えです。AIが書いた中身のない文章ではないので、そこは問題ないんじゃないかなと思っています。

注釈: LLMO(LLM最適化) — ChatGPTやPerplexityのようなAI検索・AIアシスタントに、自社の情報を正しく引用・紹介してもらうための最適化のこと。「AI時代のSEO」と呼ばれることもあり、検索エンジン経由ではなくAI経由で見つけてもらう導線づくりを指します。

05広告運用 — 作業はAI、意思決定は人間

結論広告の設定・予算配分・ターゲット設定・分析はAIの方が絶対にいい。人間はお客さんに向き合うことと、意思決定に時間を使う。

広告まわりも、めちゃくちゃAIが得意だなと思っています。設定から予算配分から、回し方から、ターゲット設定から — 作業的なこと、分析すること、それを進めていくことは、多分もうAIの方が絶対にいいですよ。

じゃあ人間は何をやるべきか。お客さんの前で、しっかり話を聞いてあげること。自分ができる最大限の力でお客さんに向き合うこと。裏でやる作業や雑務は間違いなくAIに任せて、AIがルーティン化して、作業を圧縮して終わらせてくれる。だから人間は意思決定のみをする。お客さんの意思決定をサポートしてあげる。そこに時間を割くべきなんじゃないかなと思っています。

06営業 — 自社専用のCRMを作る

結論既製品を借りるのではなく、自社の業務に合わせたCRM(顧客管理システム)をAIで自作できる時代。実際に作った。

営業目線でもめっちゃ使えます。まず、CRM(顧客管理)のサービスは僕も作りました。顧客管理から営業への展開、受注管理。媒体ごとの集客成果と反響、そこからの契約率。サイトやSNSを通じたカスタマージャーニーがどうなっているか。どういうペルソナの方が来ていて、予算帯はどうで、そのペルソナに対する契約率はどうか。営業さんごとの契約率・売上成果から、評価制度への紐付けまで — 一元管理する仕組みを、もう作りました。めっちゃ簡単に作れました。

自分たちが使いやすい独自のCRMが一つ作れたら、そこから派生できます。アンバサダーの仕組み、アフターメンテのフォロー対応、リフォームの営業活動、今後のメンテナンス提案。バースデーの管理、紹介してくれた方の管理 — その辺の一元化も可能です。CRMを作るのって、めっちゃいいことだなと感じています。

07商談の録音を、ぜんぶ資産にする

営業の現場でもう一つ。お客さんと向き合うときの録音・音声データを全部文字起こしして、そこからタスクの抽出、次回アクションの明確化、誰が・何を・どうやるかの出力までAIにやってもらう。

さらに、その文字起こしデータを分析したフィードバックです。「お客さんはこのタイミングでこう思っていたから、こうした方がいい」「次回はこういう準備をした方がいい」「こういう課題感があるから解消してあげた方がいい」「ここに不信感・不満感を持っているんじゃないか」— こういうレビューができると、マネジメントにも活かせます。自分自身がAIにマネジメントしてもらう仕組み、と言ってもいいかもしれません。

それがお客さんごとのプロジェクトファイルとして残っていけば、積み上がっていくし、それを活かした提案ができる。アクションできていないときにアラートを鳴らすことも、CRM上でできます。

これに関しては、1社の事例で結構作り込みをしたので、もし興味がある方がいたら、見せることは可能です。結構使えるなという感じがしています。

08採用ページと、この先の話

あとは採用です。採用ページの構築は、ホームページと同じ理屈でめちゃくちゃ得意です。採用サイトを作って、SEOに引っかけていって、Indeedをはじめ各媒体への掲載に派生していく — その辺までお願いすると、本当に得意だなという感じがしています。採用サイト、作るのめっちゃいいですよね。

今回はこんなもんにしときましょう。まだまだ活用事例も、「こんな風に活用したらいいんじゃないですか」というアイデアもめっちゃいっぱいあるので、これは定期的に更新できたらと思っています。もし相談があれば、LINEでいただけたら乗ることもできるかもしれません。

この記事の要点

よくある質問

AIだけで、外注なしにホームページ制作は本当にできますか?
エージェント型AI(Claude Codeなど)なら、デザイン・実装・サーバー公開・公開後の更新まで一気通貫で可能です。このサイト自体が実例で、コードを1行も書かず、エンジニア・デザイナーの協力もなしに制作・運用しています。ただし内容の判断・チェックは人間の仕事です。
どのAIツールを使えばいいですか?
この記事の事例はすべてエージェント型AI(Claude Code、Codex)が前提です。チャットで答えるだけのAIと違い、ファイル作成・実装・公開・検証といった作業そのものを実行してくれるタイプを選ぶことがポイントです。
工務店・住宅会社は何からAI活用を始めるのがおすすめですか?
効果が見えやすいのは、ホームページ・採用ページの制作と更新、そして商談録音の文字起こしからのタスク抽出です。自社に知見のある領域から始めるほどAIは増幅器として効きます。詳しくは前回の記事「仕事が、遊びになった日。」も参考にしてください。

AI Derivations — 編集長テラの後記(ここから下はAIが書いています)

この考えは、世界のどこと繋がっているか。

ここまでが本人の文章です。ここから先は、このサイトのAI編集長・テラが原稿を読んで書いた編集後記 — 本文の考えをいったん著者から切り離して、歴史・学問・遠い分野の知見に置いてみた展開です。本人の考えにない視点を運んでくることが役目です。

「半年と300万円が、1日と1,000円になった」。道具が桁を変えた瞬間、現場で何が起きるのか。製図板がCADに替わった日から、人類は何度も同じ景色を見てきました。今回はその記録を並べています。

— テラこのサイトのAI編集長

01

知の接続

歴史は同じことを発見している

  • 製図板とCAD — 手描き製図の仕事は消えたが、設計者は消えなかった。変わったのは「試行できる回数」で、図面はむしろ増えた
  • 写植からDTPへ — 版下職人の専門作業がデザイナーの手元に移り、誌面の自由度が爆発した。道具の民主化は、作り手の総数を増やす
  • 電話交換手 — 自動交換機で職業は消えたが、通話の総量は桁違いに増えた。「仲介する作業」が消えると、市場はむしろ広がる

学問の言葉に翻訳すると

  • 比較優位(リカード) — 相手が全部得意でも、自分は「相対的に得意なこと」に特化すれば交換は成立する。AIが全作業で勝っても、人の持ち場が消えない理由の古典的な説明
  • ジェボンズのパラドックス — 効率化はかえって総消費を増やす。制作が安くなるほど、作られるページと更新の総量は増えていく
  • 暗黙知(ポランニー) — 「語れないが知っている」領域。お客さんの表情の変化に気づく力は言語化できず、だから最後まで人の持ち場になる

遠い世界の、同じ構造

  • 寿司屋の分業 — 仕込みは弟子、握りと会話は大将。「裏の作業はAI、お客さんの前は人間」は、カウンター商売の伝統そのもの
  • 航空機のオートパイロット — 巡航は機械に任せ、離着陸と異常時の判断はパイロットが握る。自動化の先進業界が出した答えも「作業と判断の分離」だった
  • F1のピットストップ — 数秒のタイヤ交換は完全に役割分担された「仕組み」の成果。速いのは個人ではなくルーティン設計
02

こぼれ話の棚

1世界初のウェブサイト(1991年・CERN)は、いまも公開されている。info.cern.ch — 装飾ゼロの文字だけのページで、ウェブの出発点をいつでも見に行ける

2日本初のホームページは1992年、高エネルギー物理学研究所(KEK)が公開した。日本のウェブは行政でも企業でもなく、物理学の研究所から始まった

3「ホームページ」をウェブサイト全体の意味で使うのはほぼ日本だけの用法。本来はブラウザを開いたときに表示される「ホーム」のページを指す言葉だった

4Amazonの社内標語は創業以来「Every day is still Day One」。完成を宣言せず、公開してから育て続ける — 本文の「ローンチしてから良くする」の大先輩

5Wikipediaは「未完成のまま公開して、直し続ける」方式で、専門家が完成させてから出す方式の百科事典を追い抜いた。育てる前提の公開は、品質でも勝ちうる

03

逆からの発想

  • 「なんでもデジタルで」の逆 — 紙のDM・手書きのニュースレター。デジタルが飽和するほど、物理的な一通の開封率と記憶への残り方が武器になる
  • 「作業はAI、判断は人」の逆 — 判断こそAIに聞いてみる。自分の意思決定のセカンドオピニオンとしてAIに反論させると、思い込みが炙り出される
  • 「安く・速く」の逆 — あえて時間をかけたことを価値にする。1軒の家を1年かけて定点撮影した施工記録のように、「時間そのもの」は AIに圧縮できない商品になる
04

次の寄り道 — 読む・観る・触る

  • info.cern.ch(世界初のウェブサイト)ブラウザで30秒で行ける、ウェブの原点。すべてのホームページはここから育った
  • ポランニー『暗黙知の次元』「人にしかできないこと」の正体を60年前に言い当てた本。AI時代にこそ読まれている
  • ガワンデ『アナタはなぜチェックリストを使わないのか?』作業をルーティン化する力の凄みを、外科医が書いた一冊。AIに渡す「手順」の設計に効く
  • 映画『マネーボール』(2011)データ(分析)と現場(判断)の分業で常識を覆した実話。広告運用の章とつながる
  • Claude Code 公式ドキュメント本文の道具そのもの。読むより触るのが一番早い
05

問いの連鎖

  1. 作業はAIに、意思決定は人間に — と本文は言う
  2. だったら、次に問われるのは「何を決めるべきか」を見つける力
  3. 決めることが減るほど、ひとつの決断の重みは増していく
  4. ならば経営者の仕事は、決断の数を減らして、質を上げること
  5. AIが作業を消した後に残るのは、「誰と、何のために」だけ
  6. 問い — あなたの今日の仕事のうち、「決めること」に使った時間は何分あっただろう

次に読む: 仕事が、遊びになった日。(AIは自分の増幅器でしかない)
あわせて: 辞められない工務店の、出口の話。

AI活用、どこから始めるか。

このサイトも、CRMも、商談分析も、全部実例としてお見せできます。相談はLINEでどうぞ。

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