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高台の家 — 雨の夜がいちばん美しい
雨樋のない軒、グレアレスの照明計画、点で追う路地裏の光。「最初はローコスト希望だった」ご夫婦と建てた、旅館のような平屋。
この家は、雨の夜がいちばん美しい家です。というのも、軒に雨樋をつけていません。足元を砂利と浸透マスにすれば、樋はなくせるんです。すると雨の日、軒先から水がすだれのように落ちてくる。その水音を聞きながら、濡れない軒下で外を眺められる。雨は嫌われものですけど、この家では毎晩の演出です。

照明は全部、グレアレス(光源が見えないタイプ)にしました。理由は窓です。普通のダウンライトだと、夜、窓ガラスに光源がぽつぽつ映り込んで、自分の顔まで映る。それではせっかくの庭が台無しです。グレアレスなら光源が映らないので、ガラスの向こうの庭だけが見える。夜の紅葉を独占するための、地味だけどいちばん効いている工夫です。
壁を照らさず、真下だけを照らす。
石が、点々と浮かび上がる。


アプローチの照明は、広がる光ではなく、真下に落ちるピンスポットです。石がトン、トン、と点で照らされて、光を追って歩いていく。電気を消したときに障子の影が壁にうつるのも、この家の楽しみのひとつです。
土間にはソファを置いて、庭と居間の中間の場所にしました。それと、この家には猫ちゃんの部屋があります。ガラス張りなので、いつでも気配が見える。家族の数に、猫も入っています。
住み手実は最初、見学会に来たときは「ローコストの家がいいんです」と言っていました(笑)。そのあと旅行で泊まった旅館が忘れられなくて、「ああいう家はできますか」と。妻が旅館派で、私はヴィラ派だったんですが、こだわりの強いほうに寄せたら、こうなりました。ふたりとも「普通は嫌」な性格で、唯一無二を作りたかった。いまは、毎日が旅館です。それに尽きます。

1泊20万や30万の旅館と比べてもらえるのは光栄ですが、この家の本当の贅沢は、チェックアウトがないことです。
※本文はYouTubeでの紹介動画の文字起こしをもとに再構成しています。この住まいは販売中です
