02 / JOURNEY
Naoshima, Kagawa
直島
地中美術館の旅
2026.07.10 — 07.12 / 2泊3日 / ひとり旅
クリエイターとして尊敬している人の「絶対いいよ」を信じて、香川県の直島へ。もう街自体がアートで、歩いていて飽きない。海があって、山があって、草原があって、そこにアートがある。そして結論から言うと、一番痺れた場所の写真が、一枚もありません。その話は後半で。
Route — 旅の道順
Day 1 / 7.10 — 夕方、島に着く
- フェリー
- 宮浦港・海の駅なおしま
- 赤かぼちゃ
- 夕暮れの浜
- 夜のミュージアム
Day 2-3 / 7.11-12 — 歩いて、巡る
- 朝の浜
- 黄かぼちゃ
- ベネッセハウス
- 地中美術館
- 本村・家プロジェクト
- はいしゃ
夕方のフェリーで、島へ
Miyanoura Port
夕方の便で宮浦港へ。降りた瞬間から、もう始まっています。港のターミナルは薄い大屋根がどこまでも水平に伸びる建物で、その手前の芝生には草間彌生さんの赤かぼちゃ。港が、すでに美術館の入口なんです。

- 海の駅なおしま
- SANAA(妹島和世+西沢立衛)設計のフェリーターミナル。壁をほぼ持たない薄い大屋根の下に、待合もカフェも切符売り場も並びます。屋根の薄さは実物で見ると本当に驚くので、船を降りたらまず見上げてみてください
- 白い多面体
- 藤本壮介さん設計の「直島パヴィリオン」。約250枚のステンレスメッシュでできた浮島で、中に入れます。夕暮れどきは網目が空の色を透かして、時間ごとに表情が変わります
玄関で世界観を宣言すると、その先のすべてが「その目」で見られる。住宅でいえばアプローチと玄関ポーチ。港でそれをやっているのが直島でした。
島の時間に、目を慣らす
Sunset & Night
着いた日は遠出をせず、浜と夜の島を歩きました。海水浴の家族のシルエット、暮れていく瀬戸内の島影、夜に灯るアート。初日に「島の時間」に目を慣らしておくと、翌日の見え方が変わります。

ベネッセハウスと、屋外のアート
Benesse House
2日目はベネッセハウスへ。美術館とホテルが一体になった建物で、コンクリートの回廊を抜けるたびに海と作品が交互に現れます。屋外にも彫刻が点在していて、水盤に浮かぶガラスの茶室、岸壁の黄かぼちゃ。建築と自然とアートの距離が、ずっと近い。

窓は「景色を入れる装置」ではなく「景色を切り取る額」。ラウンジの開口は、海と松を一枚の絵にするサイズで止めてありました。大きければいいわけじゃない。
- ベネッセハウス
- 安藤忠雄設計の「美術館に泊まれるホテル」。宿泊者は夜の美術館も歩けます。水盤のガラスの茶室は杉本博司さんの「聞鳥庵(モンドリアン)」
- かぼちゃ
- 草間彌生さんの赤かぼちゃは宮浦港、黄かぼちゃはベネッセハウス近くの桟橋。黄かぼちゃは台風で流されて2022年に再設置された二代目です
地中美術館 —
写真が、ありません
Chichu Art Museum
そして、この旅で一番突き刺さった場所。とにかくやばかった。これから先「この空間好きだな」と感じる、その好き嫌いのベースがここで作られる気がしています。美術館を初めて「好きだ、ここにいたい、知りたい」と思えた場所でした。
ここから先、写真は一枚もありません。
館内は撮影禁止。だから、入ってみないと分からない。
自分の目で感じて、自分の中で消化する。そうさせてくれたのが、一番良かった。
並ぶ時間が目を暗さに慣らす設計、モネの部屋の斜めの壁、見えない天窓 — 続きは視察記で。 視察記「動線とは、感情の設計だった」を読む
- 設計
- 安藤忠雄。建物のほとんどが地下に埋まっています
- チケット
- 日時指定のオンラインチケット制。行くなら事前予約を
- 料金
- オンライン購入で平日2,500円/土日祝2,700円、15歳以下無料(要予約)。※2026年8月時点
- 休み
- 月曜(祝日の場合は翌日)。開館カレンダーは公式サイトで
- 予約
- 公式オンラインチケットから日時指定
写真の代わりに、言葉で少しだけ
Words Only
いちばん好きだったのは、ウォルター・デ・マリアの部屋。メインの空間に入る前に、暗い小部屋で並ばされるんです。入場制限だから並ぶわけですが、この並ぶ時間そのものが、目を暗さに慣らす時間になっている。スタッフさんが1組ずつ丁寧に説明するから、ちゃんと時間がかかる。そして目が慣れきったところで入るから、インパクトがとてつもないものになる。
モネの部屋は、壁がわずかに斜めで、通路がジャストサイズ。曖昧にしか言えませんが、入る前から「整えられていく」感覚があります。そして見えない天窓。自然光だけで絵を見せる部屋は、4時間いれば4時間ぶん、表情が変わっていきました。
動線とは、感情の設計 — この言葉に尽きます。行けば分かります。行ってください。
本村の路地と、家プロジェクト
Honmura
午後は本村地区へ。古い町並みの路地に、アートが暮らしと同じ顔で並んでいます。看板も社もカフェも、ぜんぶ地続き。「ここにもこんなものがあるんだ」というものがあちこちにあって、本当に飽きない。「作品を見に行く」ではなく「歩いていたら出会う」という距離感がこの島の発明だと思います。
- 家プロジェクト
- 本村地区の古い家屋を、アーティストが家ごと作品化していく1998年からのプロジェクト。現在7軒が公開されていて、共通チケットで巡れます。路地歩きそのものが展示の一部です
- 公式
- 家プロジェクト(ベネッセアートサイト直島)。「はいしゃ」もこの共通チケットで入れます
- 行き方
- 宮浦港から本村地区へは町営バスかレンタサイクルが便利。フェリーは宇野港・高松港から
はいしゃ —
家一軒が、まるごと作品
Haisha
締めは大竹伸朗さんの「はいしゃ」。元歯科医院の家一軒がまるごと作品になっていて、中に入ると吹き抜けに自由の女神が立っています。理屈より先に笑ってしまう。真面目な建築を見たあとにこれがある振り幅が、直島の懐の深さでした。

Afterword — 旅の、あとがき
見て、歩いて、言語化して、持ち帰る。
この目で、住宅の写真も動画も撮っています。
「なぜこの空間が好きなのか」を言葉にできると、家の撮り方も、見せ方も、提案も変わります。旅はぜんぶ、仕事の目線に還元しています。